スペシャルコント
「喫茶店」
[出演]
2丁拳銃ユニット
2丁拳銃
(小堀裕之/川谷修士)
次長課長
(河本準一/井上聡)
チャイルドマシーン
(樅野太紀/山本吉貴)
[キャスト] 小堀…喫茶店経営の女主人・小堀裕子(コホリヒロコ)。「バツイチ」で「32歳」、そして「金髪」。別れた旦那がやっていた喫茶店をそのまま引き継いでいる。「チャームポイント」はとろけるような、というか、ある意味溶けたような「笑顔」。 本編のナレーションも担当。 修士…30歳の売れない漫画家。裕子の店の一テーブルを仕事机にし、コーヒー一杯で何時間も粘りながら、漫画を描き続ける日々。 山本・・・会社をリストラされたサラリーマン。行くあてが無いので毎日裕子の店にコーヒーを飲みに通い、スキあらば自殺を企てる。 河本…裕子の恋人で高校生。通称“こうもっちゃん”。15歳の年の差があるものの、裕子に積極的にアプローチしてモノにした。時々すぐバレる嘘を吐くクセあり。 樅野…河本の同級生。通称“もみやん”。河本とは学校で漫才コンビ「プレーボール」を組む仲。 井上…修士の漫画家仲間(?)・パーやん。パーマンのまがいもののようなヘルメット&マントを着けて現れ、シュールな漫画を次々披露して修士を困惑させる。ひっそり保険会社に転職した疑いあり。 |
[あらすじ] 現在→過去その1→過去その2→過去その3→現在、というふうにループする珍しい構成です。 <#1:オープニング> 明転して真っ先に客が見るものは、金髪でロングヘアーのウェイトレス姿の小堀さん。 その姿が(思ってたよりはマシ)か(…きっついなぁ)であるかは賛否両論でしょうね。 とりあえず、スペコン1発目の笑いはここでかなり発生します。 笑われながらも、表情はどこか小憎らしさを覚えるすまし顔というか真顔のまま。 遠目では細くてきれいに見える足も、舞台に近いところでは(う〜ん…)らしい(^^ゞ。 井上さんと樅野さん以外はこの場面から登場。 保険会社から裕子当てに謎の電話が掛かってきたところでこの場面は終わる。 <#2:告白された日> こうもっちゃんと裕子の出会いの回想。 「曽我さんの娘さん」が理想のタイプであるこうもっちゃん。 瓜二つとしか思えない裕子にかなり惚れてしまったため、漫才コンビ「プレーボール」の相方であり親友の“もみやん”に協力してもらい、何とか裕子の気を引こうと色々試み…。 <#3:川谷修士登場> 常連客・修士が初来店した日の回想。 漫画家仲間の“パーヤン”は、修士に「合作をしよう」と持ちかけ、今までの作品を見せ出したが、「シュール」と「斬新」が共鳴しすぎてとんでもないコラボレーションを繰り広げている作品の数々に修士は困惑するばかり。 <#4:コーヒーが一番苦く感じた日> 常連客・山本の事情を知った日の回想。 閉店間際。 一人、クダを巻いているサラリーマン・山本。 時間も時間だし、さりげなく帰るように促す裕子だが、会話の流れで山本の身の上話を聞くことに。 長年勤めた会社をリストラさせられたと訴える山本。 そこに至った事情を聞く限りでは、それは不当解雇といえるかどうか(^^;。 家族に本当のことを言えず、毎日仕事に行くフリをしてここで時間を潰しているのだという。 事情は分かるがどうすることも出来ない裕子。 どうにもならないことはわかっている山本は... <#5:電話が鳴った日> 時間軸が現在に戻る。 OPで保険会社から掛かってきた電話の内容は裕子にとっては思いがけない内容。 勝手に家を飛び出して別れた夫は、裕子を自分の死亡保険金の受取人にしていた。 その夫が亡くなったので、裕子は8000万を受け取ることに。 思いもかけず大金が入ることになり、戸惑いながらもどこか浮かれている裕子。 自分や常連客が抱える問題を、金で解決しようとする裕子に、こうもっちゃんは.. <#6:エンディング> 8000万円をみんなが喜ぶ方向に活用することを選んだ裕子。 1ヵ月後、その成果は.. |
<感想> 小堀さん曰く、スペコンは、他の班と差別化するため、ちょっと泣きの方向を敢えて狙っているそうです。 見事にその作戦にハマっている私です(苦笑)。 私が見た2丁拳銃班のSPコントは、これが3作目です。 前2作では小堀さんがやるような役回りを今回は、河本さんが担当しているなぁと思いました。 前回、前々回とも、小堀さんは「パッと見はヘタレなのに、最後はピシッと決めて場をさらっていく」役回りでした。 今回も基本的にそのスタイルで進行してますが、「最後に決める役」は河本さんでした。 この役回りは一番カッコ良く見えてオイシイので、 (あ〜、やっぱり最後は小堀さんが一番カッコ良くなるような脚本になってる〜) と毎回、にやっとしていただけに、 (あら、今回は“カッコイイ”を河本さんに譲ってはる) と、何だか意外で新鮮でした。 もう1つ新鮮だったのが、舞台構成。 時間軸が一方向に進むのではなく、ぐるっとループしてまた最初に戻るというのは、2丁拳銃の舞台では割と珍しいと思います。 “遊び”ともいえますね。 最近の作品を見に来た人だったら分かる“遊び”は随所に見られました。 修士さんが「伸び悩んでいる漫画家」という設定は、前々作の「僕の絵」とリンクしてます。 “こうもっちゃん”と“もみやん”の設定は、前作の「ホームラン」では小学生だったあの2人のその後っぽいし。 最近は他の班のSPコントを見てないので、他の班はどんな風にしているのかは知りません。 終わった後の客席やロビーで聞こえた会話によれば、2丁拳銃班は「マジメ」「しっかりしすぎてる」「面白かったけど最後は寂しいっていうかしんみりした」と思う人が多いみたいです。 意味の無いバカバカしさや、不条理でシュールな作風を好む人は、2丁拳銃班の作品はもしかしたら合わないかもしれません。 (これは“お笑い”なのか?)と思うぐらい、真面目で優しい話をしていることが多いからです。 登場人物は、女装だったり、宇宙人だったり、おじいちゃんだったり、パーやんだったりするんですが(^^ゞ。 (変な格好のくせに、随分とカッコつけたことやっとるなぁ)と思う人もいるかもしれません。 2丁拳銃のコントを見ていると、(この人達は、「人間が人間を救う」と信じてるんだろうなぁ)と時々思います。 私が見た限りの話ですが、2丁拳銃の作品を見ながら、救いの無さややりきれなさを覚えたことは殆どありません。 大概最後には救いがあり、その“救い”は、お金やモノではなく、人間であることが多いです。 「優しさ」とか「信頼」とか「愛情」とか「夢」など、<甘い>といって切り捨てられがちなものが持つ力を信じているように思います。 スペシャルコントでは特にその部分を正面からぶつけている感じがします。 あまりにストレートなので、舞台を見ながら気恥ずかしさやくすぐったさを覚えたりする時も偶にあります。 そのくすぐったさは、私自身も「人間の甘い部分が持つ力」をどこかでやっぱり信じているからだろうと思います。 「ま〜た、こんな理想的な話作って〜。実社会だったらぜ〜ったいありえんわ〜、あんな“ちょっと良い話”的出来事」 と笑いつつも、 (逆に実社会ではありえないから作るんだろうなぁ) と思うし (いつから、“ありえない”ってすぐ諦めるようになったんだろう) とも思う。 2丁拳銃班のSPコントは見終わった後に色んなことを考えさせることが多いです。 もちろん、あくまでこれは“お笑い”の舞台なので、見ている時は七面倒くさいことは何も考えないでお気楽に笑ってます。 今年になってからのSPコントは「ツッコミ担当はコスプレ小堀」が主軸のようなので、次回(3〜4ヶ月周期で大体新作になります)の小堀さんの格好は何だろう、というのも楽しみの1つです。 あと、チャイマのどちらかがメーンを張るお話もそろそろ見たいなぁ、なんてことも思ってます。 私はどうしても見ながら良いところばかりを追いがちになるので、2丁拳銃に対しての感情がニュートラルの人だったら、また違うと思います。 どの感想が正しいとか間違っているということは無いので、色んな人の見方を知りたいと思っているところです。 |
(04/10/10記)