“ロック”な男・ユウキロック
2001年の夏ぐらいまでは「松口祐樹」としてプロフィールに載っていた。
それが、2001年の秋。
「次長課長・河本さんの顔写真が、なかやまきんに君になってる」
だの
「大上さんが1977年生まれになってる」
だの
「キングコングの2人が1984年生まれになってる」
だのとリニューアルしたくせに全く以って使えないと悪名高い(2001年10月現在)よしもとのHPのタレント検索機能にも、広島で新しく始まったHPにも、彼の名前は
「ユウキロック」
として記載されている。
早い話が改名したのである。
2001年の6月頃にはイベントで
「もう誰からも“松口さん”と呼ばれたくないのでこれからはユウキロックに統一する」
と宣言していたようだけど。
敬意を表す場合、普通なら
「ユウキロック『さん』」
と、“さん”付けすべきだろうが、ユウキロックに限って言えば、“さん”をつけないことが彼に対して敬意を表していることになるだろうと思う。
「ユウキロック」
という言葉自体に、親しみと尊敬が既に込められている感じなのだ。
ということで、
「松口祐樹」時代は
「松口“さん”」
と、“さん”付けしていたが、ユウキロック改名後は敢えて
「ユウキロック」
で行かせてもらうことにする。
ネタ中のユウキロック。
本当に熱い男だと思う。
何につけても。
彼が、眉間に皺を寄せて発するぼやきボケは、時によってはそんじょそこらのツッコミより熱い時がある。
なのに、そのボケは全然嫌味にもならず、うるさいとも思われない。
むしろ、見てるこちらは熱いユウキロックを見てると、舞台に惹き込まれていって大いに笑い、段々すっきりするのだ。
ユウキロックが私達の不満や疑問を代弁してくれてる感じなのだ。
決してそのネタは悪口にならないのもユウキロックの料理の上手さの1つである。
コーナー中のユウキロック。
一時、コーナー中のユウキロックは怖いと思った時期があった。
1人だけ顔が笑ってないときがあるからだ。
(楽しくないのだろうか、こういうのは嫌いなんだろうか)
と、ちょっと不安に思っていたものだ。
でも、それは
「どう自分が動いたらこのコーナーが面白くなるか」
ということを考えてしまうから、知らず知らずの内に真顔になっているらしいということを知って、安心した。
ユウキロックは自分がコーナー仕切りの時も、出演者の時もとにかく前に出て来る。
でしゃばりは往々にして嫌われるのが常識だが、ユウキロックに関しては出て来ることをお客は望んでる節がある。
お約束では無いが、ユウキロックには1つのコーナーにつき5回以上は前に出て来てくれないと物足りなさを感じてしまうのだ。
MCのユウキロック。
ユウキロックが嫌われないのは、自分だけじゃなくて他の人間も活きるためにはどうすべきかということを考えてるからだろう。
「MC」
のことを、時によっては
「まわし」
と呼ぶが、これは言い得て妙な表現である。
話の順番、時間、ネタ振り、とMCは色々考えながら場を盛り上げなければならない。
MCの腕次第では流れが止まったり、止まらずともまったりしてしまう恐れがある。
ハリガネロックが舞台でMCの時。
お客さんは、
(今日はネタが見れないのか)
とちょっとがっかりするが、ハリガネがMCをする舞台は安心して見れるのでいいか、とすぐ気を取り直す。
初お目見えの芸人の場合は、その芸人に関する情報をお客さんに教えて、温かい目で見てくれるよう頼む。
顔なじみの後輩、同期にはいつものノリで。
先輩には、芸人のノリの中にも後輩としての礼儀も忘れず。
特にユウキロックの場合、福岡の芸人の名前と顔が一致してるらしく、すごく自然な形で福岡の芸人と絡む。
自分も前に出つつ、福岡の芸人も目立たせる。
心無しか、ハリガネが出るイベントの時は福岡の芸人は変に卑屈になることも無くリラックスしているように見える。
仮に滑ったとしたら、絶対にユウキロックは拾ってくれる。
大上さんもまた然りだが。
兄貴分・ユウキロック。
私は2丁拳銃のファンでもある。
今は東京進出して拠点はルミネtheよしもとだが、2丁拳銃は、2丁目劇場&baseよしもと時代、ハリガネロックに本当に可愛がってもらっていた。
baseを卒業してからもその関係は続いている。
2丁拳銃がラジオの企画で「ライチの水鉄砲」という飲料水を出せば、ハリガネロックは同じラジオの企画で「ライチのハリガネバー」というアイスを同じコンビニから出したりする。
先に出したのは2丁拳銃なのでハリガネロックは後から乗ってきたという形である。
後輩が進出した分野に先輩が参入するのは、他の芸人なら
(何だかなぁ…)
という感じだが、相手がハリガネロックだったので、嫌だと思うよりむしろ、嬉しかった。
2丁拳銃が新曲を出すたびに、イベントでハリガネとニチョケンが一緒になったらユウキロックは頼んでも無いのにダンス指導を買って出る。
ダンスするところなんてどこにも無い曲なのに、である(笑)。
しかも、そのダンスはちょっと振り付けが恥ずかしかったりする。
しかし、先輩には逆らえないので必ずやってしまう2丁拳銃である。
でも、このダンス。2丁拳銃ファンの間ではとっても評判が良いのも事実である。
大上さんは「逢いたくて」が出た時は小堀さんに「いつカラオケに入んねん」と言って来たりしたそうだ。
2丁拳銃・小堀さんは
「好きな言葉は“ROCK”」
という人なので、コンビ名に“ロック”とうまいこと取り入れている
『ハリガネ“ロック”』
が非常に羨ましく、ユウキロックに
「うまいことコンビ名に“ロック”って取り入れてはってずるいわ〜」とか
「下さいよ〜」
ど言っていた(今も時々言っているようだ)。
名前はつけたもの勝ち、早いもの勝ちなので、ハリガネがライチアイスを出すことになった時、ラジオのコメントに
「ユウキロックって何やねん!」
などと悔し紛れに寄せたりもしていた。
2丁拳銃・修士さんとユウキロックは公私共に仲が良い。
私は行ってないものの、今は無きラジオ大阪のリクエスト番組
「OBCブンブンリクエスト」
のイベントで、2丁拳銃、ハリガネロック、ますだおかだがシャッフル漫才をするという夢の企画があったのだが、修士ーユウキロックの即席コンビ
「白山のメガネはいいメガネですよ」
はイキもぴったり合って見事優勝した。
ユウキロックのHPの日記には、時々、修士さんの名前が登場する。
ある日の日記には深夜突然ユウキロックの家に電話を掛けて、ユウキロックの家に行き、朝まで東京の怖さを話す修士さんの話がある。
ユウキロックは修士さんの話の内容については触れて無いが(そこがまた良い)、修士さんの話を半泣きになりながら聞いてくれた。
そしてその日の日記は修士さんへの短い励ましの言葉で結ばれている。
お互い忙しい身だが、話を聞いて貰おうと、時間は深夜だけれども先輩の家に向かう後輩と、朝までその話を聞いてくれる先輩。
修士さんにそれが出来る相手がいて良かったと思い、その相手がユウキロックで良かったと思った。
ファンから見たユウキロック。
「誇れる人」
である。
ネタのセリフ、ラジオのフリートーク、雑誌のインタビュー、HP。
ユウキロックは様々なメディアで自分をさらけ出している。
そこにいるのは熱いユウキロック、強いユウキロックだけじゃない。
時には落ち込んだりへこんでいることもある。
苛立ってたり怒ってたりすることもある。
それらの全てがユウキロックであると思っている。
ファンはどの時のユウキロックも誇りに思っている。
あんなに沢山の人を魅了するネタを作れる人であることを誇れる。
ファンに厳しいけど、ファンを大切にしている人であることを誇れる。
“漫才”というものに誇りを持ってやっている人であることを誇れる。
“ユウキロック”が“ユウキロック”であることがすごく誇りに思える。
(01/10/12)
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