「ティラノサウルスをやっつけろ」インストアイベント
(05/8/15 atタワーレコード新宿店)

【リハーサル】

19時始まりだったが、18時15分頃には既に人垣が。
 18時45分頃、「公開リハーサル」で2人登場。
 「今からリハーサルをやるので、見なかったことにして下さい」
 てなことを言い出す小堀さん。

 修士さんがギターのセッティングなどに取り掛かる中、小堀さんは後ろにあるスクリーンに映るPVを見たり、お客さんの方を見たり。
 やおらハープを取り出し、「赤とんぼ」をそれこそブルース調に吹く。
 4年ぐらい前、福岡の夕方ローカル番組で『全国銃弾“うた”ツアー」の告知をするため出た時もこれを吹いていた(多分実家にはその時のビデオがまだある筈…)。
 その時、(うわぁ〜、カ〜ッコイイ!ブルースハープ、すっごいカッコイイ!)と感動した覚えがあるので、それを生で聴けたことがとても嬉しかった。
 吹いた本人もご満悦。
 自分で自分の演奏に涙する(笑)。

修士さんのセッティングが終わったので、2人で合わせることに。
 この時、椅子が2脚置いてあり、二人ともそこに座った。
 椅子が用意された時、「何で椅子なんてあるの〜」とか「座ったら見えねーんだけど(発言者:女性)」となにやら不満も聞こえたが、スタッフの方が椅子をセットしている時に私が思ったことは
 (2丁拳銃もおっちゃんだもんなー。そりゃ椅子も必要だわな)
 だったりする。

 修士さんのギターで入るが、予定調和なのかそれともちょっとしたお遊びだったのか、「かあちゃん」を弾き始める修士さん。
 1番のイントロの部分を唄う小堀さん。
 その時、なにか閃いたのか、リハーサルに入ろうとしていた修士さんに「もう1回やって」とおねだりする。
 もう1回、「かあちゃん」を弾く修士さんに合わせ
 「じいちゃんの〜、葬式で〜(×2)、オトンがビール瓶で殴られた(どつかれた、だったかも)〜」
 と、新曲(笑)を披露。
 後に「続・かあちゃん」と命名。
 実話です、と笑いも救いも無い当時の小堀家の家庭の事情を打ち明ける小堀さん。
 跡継ぎ問題を巡り、オトンの弟さんが切れて長男であるオトンに向かってビール瓶で“コツン”とどついたそう。
 おじいさんの代までかなり裕福な資産家だったらしい小堀家。

公開リハでは「トンビ」を披露。
 普段のプロモーション営業は、お客さんの数がパラパラだったりそのパラパラもよく見れば知った顔ばかりだったりするが、今日はたくさん来てくれて、知らない顔も多いと素直に喜ぶ2人。
 リハが終わったのでハケるが、再び出て来るまでに帰らないように、と小堀さんから指令が出される。


【本編】
 はじめまして、とか言っていたような。
 こんなに人が集まったのなら、是非被害者の会に入ってくれと頼む修士さん。
 変な名前のファンクラブ…変な名前言うたら悪いけど、と言いつつ、FC発足初期のバス旅行のエピソードを話す修士さん。
 バスに貼ってあったプレートが「2丁拳銃被害者の会ご一行様」と銃撃事件の被害者の会のような感じなのに、中からは暢気にけらけら笑いながら女の子が降りて来るので かなり周りから浮いていたことなど。
 またFCで旅行とかやるみたいなんで是非、と修士さんんが言うと同時に、でもなあ…と言い掛けて、あ、やっぱエエわと何か含みを持った笑いを浮かべつつ言うのを止めた小堀さん。
 1月の東京拳銃の空気を考えたらあまりわくわくきゃっきゃしたテンションの旅行は期待出来ない、とでも言おうとしたのかしらと推測。

昨年8月に初めてR&CのレーベルでリリースしたCDも、早いものでも「ティラノ〜」で三枚目。
「ティラノ〜」は最高傑作だと豪語する2人。
 最高傑作すぎてこれ以上のものを作るのは無理、という小堀さんの発言には客から微かなブーイングが飛ぶ。
 名曲揃いなので、ベスト盤がすぐ作れるという発言には、
 「今まで出した曲全部が名曲やったらそりゃベスト盤出来るけど…」
 と相方からダメ出しが。

それにしても歌を作るのは難しいなぁ、という修士さん。
 言葉が出てこない、と。
 修士さんが書く詞の世界は、実体験よりイメージを基にしたものが殆ど。
 些細なエピソードから話を膨らませるため、どんな言葉を使えば良いかを考えるのは中々大変らしい。
 いっそのこと、辞書をぱっと開き、目に入った言葉から歌を作ろうかと考えたりもしたとか。

一方の小堀さん。
 最近の携帯はボイスレコーダーが入ってるので、これを曲作りに活用。
 曲が浮かんだらすぐ吹き込めるので便利だと。
 しかし、小堀さんが吹き込み中と分かってるのに構わず仕事のことを話し掛けるマネージャーさんの声や、その応対をする自分の声も一緒に入っていたりで、うまいこといかないらしい。

 また 一番吹き込む時は酔っ払って気持ちが良くなってる時なので、後から聞き直すと殆ど何を言ったり唄ったりしているのか自分でも分からないことが多いとか。
 自転車に乗ってる時に浮かんだ場合も同様で、再生すると風の音しか聞こえずがっくり。

 ちなみに携帯のボイスレコーダー機能が充実する前は家の留守電に吹き込んでいたそう。

 いつ言っていたかは定かじゃないが、昔はそんなに好きじゃなかった曲も後になって聴いてみたら好きになったりすることもあるでしょ?と小堀さん。
 「あの時はそうでもなかったけど、今聴いてみたら「蛍光灯の虫」、良いやん!とか。ブルーハーツにもあるやん」
 と語ろうとしたら、修士さんから
 「オマエがブルーハーツを語るな!」
 と怒られる(^^ゞ。
 コホリン以外に誰が語るのよ、という気は無きにしも非ずだけど。


ティラノ〜がカラオケに入ってるという話から、CMの話(私は聞いててあまり話の流れが掴めなかった)、映画の話に。

 修士さん、皇帝ペンギンの映画は可愛さを求めて見に行ってはいけない、と力説。
 行こう思ってたのに、と小堀さん。
 別におもんないとかいうことは無いが、家のテレビで見る分では(あぁ愛らしいなぁ)で終わる転ぶ赤ちゃんペンギンの映像は、本編では手に汗を握って見ずにはいられないそう。

 とにかく自然が厳しすぎるので、
 「何でコイツらこんな過酷なとこで生きるねん!繁殖すんねん!って思うねん」
 と言う修ちゃんに
 「S○Xが好きだからに決まってるやん」
 といつもと変わらず飄々とシモを口にするコホリン。

 これを言うと、即座に口でのツッコミかビンタのどつきのどちらかが返って来ると予想していたであろう小堀さん。
 ところが返って来たのは「いや、いくら好きかもしれへんけどな〜… 」と真顔で直球の答え。
 「修ちゃん、笑ってくれへん!」とコホリン。

 (そこまでばらすか〜)とひっくり返るほどの懇切丁寧な映画解説ぶりで、第二の浜村淳の呼び声が(一部で)高い修士さんに言わせれば、「皇帝ペンギン」は

 「魚を山ほど持って南極に置いて来たいと思うで。魚が山ほどあったら全部解決すんねん」
 という映画だそう。
 “魚を山ほど〜”の 部分から、「足長おじさんが欲しいねんな」と独自の解釈を披露した小堀さんだが、「えっ、何で?」と修士さんには伝わらず。

 ちなみに映画はヨメちゃんと一緒に見に行ったそう。


音楽の活動もだんだん軌道に乗り、ミュージシャンからも声を掛けてもらえるようになった、とちょっと嬉しそうな小堀さん。
 チャコフィルやパーソンズのイベントに出ると告知。
 でもあまり本人達は詳しいことを把握していない感じが。
 PERSONSといえば、JILLさんは「空を見上げて」の楽曲提供者。
 しかし「空を見上げて」は物凄く難しいそうで、修士さん曰く「ライブで1回も成功したことが無い」らしい。チャコフィルについては2人とも「(Vo.が)実家が金持ち」と盛んに言っていた。

 曲者にはジェット機さんも出る。
 小堀さんは宮田JETさんからDJでイベントに出ないかと誘われているそう。
 回すの?と修士さんが訊くと「回さんでもエエんちゃう?」と冒険的なことを口走る小堀さん。
 それやったら家で好きなCD聞くのと変わらんやん、お菓子食べながらでも出来るで、と修士さん。
 DJに興味は無いかを修士さんに聞く小堀さん。
 修士さんはDisk JockyよりDerby Jockyの方が良いらしい(^^ゞ。
 CD回すより馬のケツを叩く方が良い、と。
 小堀さんがターンテーブルを回す横で修士さんは下半身馬の着ぐるみをつけた山本さんでも叩いておくと。
 (小)「あいつ、『僕らくだですけど』言いよるで」
 (修)「自分で(らくだだと)言うんや(笑)」


歌の準備に入る2人。
 一瞬の沈黙を縫って「修士様〜!!」と叫ぶ場違いさんが1人。
 最近ルミネにも出没しているらしい。
 夏ですなぁ。
 出来れば秋風と共に消え去って欲しくもあったり。


【歌】

#1:セルロイド
#2:遠距離恋愛のうた
#3:簡単な言葉

 「セルロイド」と「簡単な言葉」は1月の「東京拳銃」で聴いたことがあり。
 生では初めて聴く「遠距離恋愛のうた」は嬉しかった。
 「簡単な言葉」を歌い上げた後、
 「何で(こんなエエ歌を)シークレットトラックにしたんやろ」
 と何となく納得が行かなさそうな小堀さんだった。
 「東京拳銃」では1位でしたもんね。
 シングル曲じゃなくシークレットトラックを好きな曲に選ぶ被害者達のアマノジャクぶりにあの時はいささか嘆いていた感もありましたが。
 「LOVE ROCK」の頃は、「逢いたくて」が定番でしたが、最近はラストに持って来る曲の候補が増えて外れることも多い。

 「ラスト3曲です」か「ラスト1曲です」のどっちだったかは忘れたが、お客さんに告げた小堀さん。
 そしてすかさず自分で「エェ〜」。それを聞いたお客さんも笑いながら「エェ〜」。
 「ウチの相方の方が早かった(笑)」と修士さん。

 歌の準備をしている時、長渕剛が最近、アゴで唄ってるように思えると修士さんに話し掛けていた小堀さん。
 修士さんは長渕剛の「勇次」という曲が好きなのだが、「勇次」のアコースティック版が収録されているCDを購入し再生したところ、“アコースティック”と銘打っておきながら実は長渕が「勇次」の詞を朗読して終わる、という構成だったのでがっかりしたそう。
 「“嫌になっちまった”ってそら嫌になるわー」(修)。

 「曲者」の告知は折に触れて何度もしていた。
 小堀さんの楽しみはjeal.kb。
 PVを見たら、淳さんのアイメイクが汗で流れ出すのだが、それが黒い涙を流しているように見えて中々本格的なのらしい。
 後、弾かないバイオリン担当の森本さん&キーボード担当の金成さんの動向もひそかに注目だとか。


【握手会】

 スイマセン、あまりに長蛇の列だったのでスルー致しました…。
 

【感想】

私の予定が合わなかったり東京ではやらなかったりとで、2丁拳銃のインストアイベントに行ったのは03年8月の「百式2003DVD・VHS」以来。
 2年ぶりの参加となりました。
 
 以前だと芸人がやる音楽を聴いたりライブに行くことに何となく気恥ずかしさを感じることがあったが、今回はそういうことがまるで無かったなぁと思った。
 漫才をやる2丁拳銃もコントをやる2丁拳銃も音楽をやる2丁拳銃も、ごく普通に当たり前に見れるようになった。
 センターマイクの位置を調整する2丁拳銃に違和感を感じないことと同じで、ギターのチューニングをする2丁拳銃を特別な感じで見ることはもう無い。

最近は“まがいもの”という名前が合わなくなってきた感もある「曲者」。
 これに行ってから私は、【2丁拳銃】と【音楽】の関係をあまり難しく考えたりこだわったりしなくなったと思う。
 「曲者」というライブイベントが持つ空気は本当に独特で、普段のネタライブではじっくり舞台を味わう人達が、本能をそのままぶつける。
 好きな曲の時は全身でその“好き”を表現する。
 凄く単純なことしか考えられない。

 2丁拳銃が音楽をやることに慣れていない頃は、音楽をやる2丁拳銃を(変な話だけど)許して下さい、と2丁拳銃のファン以外の人に対して思うようなこともあった。
 私自身、ミュージシャン以外の人が音楽をやることにどこか抵抗を覚える人間だから。
 2丁拳銃が音楽をやることについて、嫌だとは思わないけれども積極的に受けいれる心境には少し届かないというアンビバレントな感情は結構持ち続けた。

 だが、昨年「曲者」に初めて行った時、何だか吹っ切れた。
 「曲者」に行って初めて
 (あぁ、私この曲好きだ)
 と気づいた曲が何曲かあった。
 “2丁拳銃が音楽をやる”ことよりも“2丁拳銃がやる音楽”のことに無意識的に重点を置いてあの日は過ごしていた。
 “やってるのが2丁拳銃だから好き”じゃなく、“好きだと思う歌をやってたのが2丁拳銃だった”ということが振り返れば多かった。
 
 誰がやっていようが、好きなものは好きだし、分からないものは残念ながら分からない。
 作り手は自分達が良いと思うものを世の中に送り出し、受け手はその中から自分に合うものを取捨選択する。
 ことさら、2丁拳銃がやってることだから無理に好きになろうとすることは無いし、芸人・2丁拳銃が作っていると頭で知っているから身体はそれを拒否するかといえばそんなことはなく、身体はそんな思惑と関係無しにリズムを取ったり手を振り回したり飛んだりする。
 
そういう単純なことにやっと気づいてからは、2丁拳銃の音楽活動をあまり特別視したり不安材料に思ったりしなくなった。
 敢えて考えるなら、“夏の定番活動分野”か。
 

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