<SPコント 『はきだめの犬』>
[出演]
ダイノジ/2丁拳銃/あべこうじ/タカアンドトシ/山本吉貴/芦澤和哉/前田ししょう
・幕が開いたが舞台は暗転したまま。 懐中電灯の光が山の中っぽいセットをうっすらと照らす。 山本さん&芦澤さんの声がするが、服装や髪型などははっきりとは見えない。 「ひどい現場だ」「本庁」というやりとりから、2人とも刑事? 山本さんが古代ローマ帝国の話(裏切り者は徹底的に処刑された云々)をするので嫌がる芦澤さん。 (芦)「オマエ、昔いじめられてただろ?こんなところでそんな話する奴は絶対いじめられてたよ」。 いじめは、いじめる側が悪いといわれるが一概にそうとは言えない、みたいなことを話す山本さん。 このシーンは明転は無し。 だんだん音楽が高鳴り、OPブリッジが両サイドのスクリーンに映る。 ・SPコントのタイトル「はきだめの犬」が映る。 (この時に流れる曲が凄く気になっているので(06/2/10現在)、誰の何という曲か分かる方は情報提供お願いします→THEE MICHELLE GUN ELEPHANTの「赤毛のケリー」とのことです。情報を提供して下さったともさん、ありがとうございました(062/28)) タイトルの後、クレジット。 ダイノジ班なのに、“小堀裕之(2丁拳銃)”というクレジットが真っ先に出る。 役柄順か年功序列順か。 (わぁ〜)とか(おぉ〜)とかいう感嘆の声を思わず漏らす人が日によってはポツリポツリ。 ・スクリーンに「2日前」という文字が映し出された後、明転。 修士さん、あべちゃん、タカさんが登場。 全員黒スーツ。山の中のセットは変わらず。 この後、 トシさんが登場。 「同窓会が無かったらこうして集まることは無かった」というセリフから、4人とも同級生ということが分かるが、何故か全員トシさんに“ですます調”で会話。 ここに集まることになっている者は全員あることを計画している仲間。 それは銀行強盗。 山奥のアジトに潜伏中で、トシさんはリーダー。 この山奥は小学生時代の遊び場。 色々思い出話に花を咲かせる。 当時クラスで一番好きな女子の名前を木に彫ったことがあったが、あべちゃんを除く全員が実は“洋子ちゃん”と彫っていたことなど。 何故あべちゃんが洋子ちゃんを選ばなかったかというと、あっちの趣味だから。 みんなが憧れていた洋子ちゃん(おおちさん)がやって来たが、今は見る影も無い。 若干見栄っ張りでもあるらしく、バレバレな嘘をすぐつくが、つくたびにピストルで撃たれる。でも平気。 前田ししょうも一緒に登場。有名レスラーの設定。 強盗が成功したらその金で何をしたいかをお互い打ち明ける。 順調そうに見えながら、それぞれ何かしら事情を抱えていることが分かる。 ここで、昔ほら穴に誰かを2日間閉じ込めた話が出る。 しかし、それが誰だったのかをみんな思い出せない。 閉じ込めた相手が誰だったかは忘れたが、クラス全員でタイムカプセルを埋めたことは思い出し、その話に再び華を咲かせていたら、この計画の参加者の最後の1人がやってくる。 そのメンバーは昔いじめられっ子だったコホリ(小堀)。 彼を見てやっと、昔ほら穴に閉じ込めたのはコホリだったことを思い出す一同。 屈辱的なあだ名をつけたり(※参考:「百式2003」の虹彦漫才)、殴ったり蹴ったりと、全員がコホリをいじめていたのだが、そんなことは気にしていないと、本人は意に介していないよう。 今は事業も成功してお金持ちの社長ということですっかり勝ち組となったコホリだが、巨人軍のファンであることは子供の頃から変わっていないらしい。 拳銃や変装用のマスクも率先して調達し提供するなど、かなりの貢献ぶりを発揮。 一同もいじめのことはまるで無かったかのように、<コホリ“さん”>とさん付けでもてはやす。 ・金庫破りの達人を探してきたのもコホリ。 しかし、“金庫破りの達人・アキラ(大谷)”は行動・言動のどれをとっても信用出来ない胡散臭さ。 レミオロメンの「粉雪」を何の前触れも無く熱唱したり。 一同不信を持つが、コホリを信用し金庫破りを頼むことに。 決行前に見取り図を確認しようとアジトに向かう中、洋子だけ呼び止めるコホリ。 いじめられていた当時、あまりのいじめのひどさに人生を絶望し自殺しようとしたところを見つけて止めてくれたのが洋子だった。 あの時くれた菓子パンは今も忘れずに持っている、と言い、懐から取り出す(パンはずっと冷凍保存していた)。 これが終わったら洋子ちゃん、僕と結婚しようとプロポーズする。まんざらじゃない洋子。 ・場面転換→2時間後に話が進む。 強盗は失敗。 アキラが銀行の前で「粉雪」を唄ってたのも原因の一つだが、既に金庫の中に警察が張り込んでいた。 裏切り者探しが始まる。前半の結束力は崩壊。お互い疑心暗鬼。 一同の疑惑の目はやがてコホリ1人に向けられる。 そもそもあんなにひどいいじめを受けていた奴がやすやすと協力する訳が無いなど、コホリをどんどん追い詰める。 そんな中、コホリは警察の目を掠めて出来るだけ金を集めてきましたと、3000万円が入ったボストンバッグを差し出し、自分の心境を打ち明ける。 「自分は裏切るようなことはしないしみんなを恨んでもいません。 確かにいじめられてたけど、みんな本気でいじめてなかったじゃないですか」 と。 そしていじめた側からしたらほんの気まぐれ程度にしか過ぎず覚えてもいないような“些細な優しさ”を、凄く嬉しかったこととして一人ひとりに感謝して回るコホリ。 後ろめたさにいたたまれない感じの一同。 この中に裏切り者はいない、と宣言するトシ。 再び結束の空気が高まる中、自分だけ一同よりやや離れたところに移動していたコホリ。 そこに洋子1人だけを呼び寄せる。 「オマエ達どうしたんだよ?」(一同) 「いや、そろそろかなぁ思うて」(コホリ)。 一同がこの言葉の意味に気づくより前に、アキラが乱射したライフルが辺りを襲う。 コホリ&洋子以外は銃の餌食に。 アキラはコホリが雇ったヒットマンだった。 ・銃弾に倒れた一同を冷ややかに見下ろすコホリ&洋子。 「コイツら、本当にバカだよなぁ」と薄笑いを浮かべながら呟くコホリ。 それに同意しながら、3人だから1000万ずつねと3000万を等分し始めた洋子に 「1人1000万じゃない。1500万だ」 と、アキラが声を掛ける。 嘘でしょう?と洋子は懇願するが、容赦なく発射された処刑の弾丸は、洋子の巨体に命中する。 倒れる洋子。 その耳元で 「オイ。オマエ、あの時(ほら穴に2日間閉じ込められ時)、一番笑ってたよなぁ!」 と、長い間の恨みと怒りの言葉を吐き掛けるコホリ。 あの時自殺を止めたのは確かに洋子だったが、生きることを絶望するほどの出来事だった閉じ込め事件を一番面白がっていたのもまた洋子だった。 ・先ほどまでの喧騒が嘘のように静かになった山中。 死体に囲まれながら向き合うコホリとアキラ。 コホリのダンナも人が悪いなぁ、というアキラに 「暗い洞穴に2日間も閉じ込められたらね、誰でもこうなりますよ」とうそぶくコホリ。 あの事件以降、人を信じることはやめた、と。 そんなコホリにアキラは、コホリが社長でもなんでもなく経営している会社も元から無いことも知っていると告げる。 そして、ボストンバッグにある金は2人で分けるつもりもない、と。 そして銃声が一発...。 ・倒れたコホリと対照的に次々起き上がる一同。 ライフルの空砲に合わせて撃ち殺されるフリをするのは楽じゃなかった、と。 「コイツ、本当バカだよなぁ」と、動かなくなったコホリに蔑みと冷ややかな視線を送る一同。 コホリが怪しいと最初に疑ったのは洋子だった。 コホリのケータイメールを覗き見したら、警察と連絡を取り合っている履歴が残っていたから。 よくロックが解けたなぁと一同は不思議がるが、コホリが好きだった巨人軍の選手の背番号を入れてみたらビンゴだったそう。 このまま放置しても邪魔になるし厄介なことにもなりかねないのでコホリをほら穴に隠しに行ったメンバーが、凄いものが見つかったと嬉しそうに戻ってきた。 それは卒業記念に作ったタイムカプセル。 当時自分が書いた夢を懐かしく語り合う一同。 「コホリは何て書いたのか見てみようか?」「どうせ巨人軍の選手になりたいとか書いてんじゃないの?」 と、好き勝手なことを言い合う元同級生を尻目に3000万を早く分け合おうとボストンバッグを開けて中身を取り出したアキラ。 ボストンバッグに入っていたのは3000万では無く、時限爆弾だった。 ・冒頭の場面に戻る。 刑事2人の格好や髪型もバッチリ分かる。 男女9人の遺体が横たわっていることも。 現場検証を始める山本さん&芦澤さん。 転がっていたタイムカプセルのビンを見つけ、中を見てみる。 「金持ちになりたい」「お嫁さんになりたい」など、子供らしい夢を書いた紙が多い中 「おれの周りのやつ みんな殺したい コホリ」 と、1枚だけ空気が明らかに違う紙が。 気持ち悪がる刑事だが、刑事の1人が 「あれ?今度来たキャリアの名前も確かコホリじゃなかったか?」 と言い出す。 「あぁそんな感じの名前でしたね。まぁ、コホリってそんなに珍しくない名前ですけどね」 とやり取りをしていたら、当のキャリア組・コホリがやって来た。 エリートらしくテキパキと現場の刑事に指示を出すコホリだが、山本があることに気づく。 「ちょっと、アイツ、コートの下に巨人のリストバンドつけてますよ」。 ・「将来の夢」の紙を誰も見ていない隙に抜き取ってコートのポケットに入れると、アジト内の家宅捜索開始や違う場所での証拠探しなどを指示し、巧みに部下を遠ざけ、現場に1人残ったコホリ。 暗転し、ピンスポットが彼を照らす。 「...カチカチに凍ったパンなら、ピストルの弾から守ってくれるよな。オレって本当に運があるよなぁ」 そう自嘲気味に呟きながら、あの時死ななかったことで手に入った菓子パン(冷凍)を胸ポケットから取り出す。 ピンスポットが消え、音楽→幕が閉じる。 |
<感想> 最初に見た時、(甘さが随分少ないなぁ)と思った。 2丁拳銃のコントによく出て来て、見ながら時々気恥ずかしくなったりくすぐったくなったりする「信頼」や「友達」や「夢」などの存在が、今回は殆ど見えなかった。 今までの2丁拳銃班のSPコントの印象が“繋がり”なら、今回の印象は“切る”だった。 そして、最初から怪しかったコホリがやっぱり犯人だったのも随分とストレートだなぁと思った。 全く怪しそうじゃなかった人が実は...という展開を想像していたので。 1回目を見た後は作風は決して嫌いだったり嫌なものではないのに、分かりそうで分からないもどかしさが残った。 大事な伏線だったもののいくつかを見逃したり聞き流してしまった部分が随分あるように思った。 次に見た時は、セリフなどの細かな部分に気をつけながら見るようにした。 1回目に見た時は突拍子も無いセリフと思っていた山本さんの古代ローマ話が、これからのストーリーを暗示していたことなど、やっぱり1回見ただけでは分からないことが随分あった。 その中には、私が抱えた<分かりそうで分からないもどかしさ>を解消するセリフもあった。 それは 「あの時、ほら穴に誰か閉じ込めたよね。誰だっけ?」「あ〜、あったなぁ」 というやり取り。 1回見ているので、この後いじめられっ子だったコホリが壮絶な復讐を同級生に果たすことは知っているが、初めて見た時は、コホリの狂気や一方的な執念しか私は掴むことが出来なかった。 後藤秀樹さんがいうところの<笑わしたいのか泣かしたいのか分からんコント>によくある、“人間の悲しさや甘さ”が今回は無いなぁと思っていた。 だが、子供の頃のコホリにとって恐怖と絶望に襲われた閉じ込め事件について、同級生の誰もがそういうことがあったことは覚えていても誰を閉じ込めたのかまでは覚えていないことが分かった時、(あぁ...覚えられていなかったんだ...)と、コホリへの切なさを少し覚えた。 (“怒り”や“恨み”以外の感情も持っていたんじゃ無いかなぁ)と思った。 そういう目線で舞台を見たら、ダークな結末は同じだが、少しだけコホリに人間味を覚えた。 (あの時死ねなかったから、いつか必ずみんなを殺すために生きてきたのかなぁ。何て哀しいんだろう)と。 「ダイノジ班」なのに小堀さんが主役級の役をやって良いのかしら?と思ったりしたので、ダイノジもダイノジのファンも心が広い方が多いんだなぁとありがたく思った。 チャイルドマシーン解散後2丁拳銃班のSPコントがフェードアウトしてしまったので、7じ9じ系ライブに足を運ぶことが少なくなっていたが、2丁拳銃班が無くなっても、かっちりと作り込んだ舞台をやる班があることが分かって嬉しかった。 後は、重要な見せ場シーンになるとかなりの確率で噛むことが少なくなればなぁ...(^-^;。 歯並びは良くなった筈なのに。 (06/2/12 記) |