マントヒヒ寄席(10/1/16 於 お江戸上野広小路亭) 【出演】笑福亭瓶二 [ゲスト]小堀裕之(2丁拳銃) ![]() お江戸上野広小路亭に行ったのは初めて。 1階の入り口で靴を脱いでスリッパに履き替えると2階にあるロッカーに靴を預け、3階にある客席に向かう。 事前予約をしていたが、席は空いているところをご自由に、だったので座り慣れている椅子席を選択。 前2列は畳に座椅子だった。 お客さんは40〜50人ほどの小じんまりとした会。 男女比は3:7といった感じだった。 瓶二さん登場。 瓶二さんは特定の出囃子を持ってらっしゃらないそう。 ある会で三味線の方に出囃子を選んでくださいと言われたので、自分の名にちなんでいるし誰とも被らないからという理由で「銭形平次のテーマ」をお願いしたところ、今まで弾いたことが無くて自信がないので、と本番では同じ時代劇のテーマソングと言うこと以外共通点がなにもない某ドラマの歌に勝手に変えられたことがあるとか。 今日のゲストの小堀さんについて、少し紹介。 月亭方正さんを介して知り合ったそうだが、面識はなくてももっと前に2人は遭遇していたそう。 瓶二さんは平成2年入門で、鶴瓶さんのライブに弟子一同が紹介されたが、小堀さんはそれを客席から見ていた。 当時の小堀さんは鶴瓶さんが大好きで弟子入りしたいとまで思っていたが、その時、鶴瓶一門には9人の兄弟子がいることが分かり、諦めたとか。 その時は数多いるファンかつお客さんの一人に過ぎなかったのに、10数年後は舞台の向こう側に立ち、憧れの人に声を掛けてもらえるまでなるとは、何とドラマチック。 でも、このエピソードを他のところで聞いた時、弟子入りしなかった理由はもっとエグかったような(^^;。 ちなみに今日はルミネ終わりで来ることになっており、まだ到着していないのだそう。 よく耳にする“寝坊”とか“迷子”とかいう理由での遅刻なら、スリッパで頭を叩きたくなるけれど、仕事なら仕方ないか。 一席目は瓶二さんで、「看板の一(ピン)」。 博打の噺なので、人によっては大層血気荒く演じたりする方もいるが、瓶二さんはうまいこと儲けようとするお調子者の男を飄々と演じていて、聴いていて楽しかった。 一旦ハケたものの、小堀さんは到着したばかりとのことで再びつなぎ程度の噺を…ということで戻って来られた瓶二さん。 どんな時でも(これは〜のつもり)という風に成り切ってしまえば、乗り切れるものです、ということで、二席目は「書割盗人」。 貧乏で家具を買えないので、部屋の壁に家具の絵を描いてもらい、豪邸に住んでいるつもりの男の家に、盗人がやって来た。 大金持ちの家だと睨んで入ったものの、家財道具は全て絵。 引くに引けない盗人が取った行動とは…という噺で、これは非常に面白かった。 小堀さんの遅刻に少しばかり感謝(^^ゞ。 そんなこんなでやっと登場した小堀さんだが、見台が無かったため、設置をお願いする。 そういえば小堀さん、いつも見台使って落語やってるけど、あれは何かこだわりだろうか。 鶴瓶さんは私落語の時は見台あり、古典のときは見台なしと使い分けてるけど。 見台が設置されると、あらためて「どうも、ビートルズです」とご挨拶。 数日前のブログでは髪の毛がエラくビートルズ色だったが、今日見た限りでは落ち着いたのか若干色を入れたのか定かではないが、羽織姿でもさほど違和感ない髪の色だった。 15〜20分ほど前に到着したばかりなので、今一つ今日の客がどんな感じなのか掴めないようで、探り探りマクラを進めていく。 今日の会のお客さんは、今まで私が行った中では1、2を争うおとなしさ加減というか人見知りぶりで、小堀さんが客の様子を窺うのと同じぐらい、客も小堀さんを遠巻きに様子を窺っているような感じ。 普段は2人で漫才をやってるんです、とか、鶴瓶さんのファンで今は声掛けてもらえたり落語の台本を見てもらったり電話番号教えてもらえるようになったんです、とか色々自分のことを話してみてもなかなか近寄って来ないので、もーえーわ、とばかりに「自慢しますわ。落語の台本で賞取りましてん。2回もや!」と、若干開き直ってみたら、拍手は起きたものの、だからといって警戒心を解いて食いついてきたりもせず、相変わらず遠巻きに観察モードの客席。 いまいち勝手が掴めないながらも噺に入らないといけないので、「親戚の子を見るような感じで」とお馴染みのお願い。 何となくこれを聞くと、(アンタは出来る子やろー)とオカンモードになる(^^ゞ。 始めた噺は、第2回上方落語台本賞優秀賞受賞作の「ハンカチ」。 噺が始まると、先ほどの無反応ぶりが嘘のように随所随所で笑いが起きて、当たり前のことなのだけれどもそれまでがそれまでだっただけに、本編での反応の良さに若干驚いてしまった。 私がこの噺を聞いたのは初卸しだった昨年5月の浅草花月だったが、聞き終わった時、(私が小堀さんに興味を持っていなかったら、この噺をきっかけに小堀さんの落語や、2丁拳銃の漫才に興味を持つようになっただろうなあ)と思ったものだった。 約8か月ぶりの「ハンカチ」は変わらず面白くて素敵な噺だったが、5月に聞いた時は、もう少しサゲは余韻を持たせる終わり方だったような。 時間の都合かと思うが、あの噺はサゲを聞いて(あぁ、だからこの…)と気づいた時、ほっこりとした余韻にじわじわと包まれる笑いなので、さっとサゲてハケるのは勿体ない気がした。 トリで再び登場した瓶二さん。 ネタは「一文笛」。 サゲは軽めだが、噺全体は“独りよがりの優しさでも人を救えるか”という少々シビアなもの。 この登場人物でそういうテーマが出来ることにも感服する。 終演後は皆さん、熱心にアンケートを記入してらっしゃったので、私も出来る限り埋めてみた。 どの噺も置いて行かれることなく、最初から最後まで噺の世界にどっぷり浸ることが出来たので大変楽しかった。 (10/01/19 記) |