2丁拳銃の百式2010
(2010/11/28 at ルミネtheよしもと)

 <オープニング>

2丁拳銃人形が漫才をしているブリッジ。
 ちなみに客席も同じ顔がぞろぞろ。
 修士人形には「きゃぁ〜(歓声)」が飛び、小堀人形には「きゃぁ〜(悲鳴)」が飛ぶ、という構図に小堀さんは後で不満を漏らしていた。
 原案は修士さんだとか(?)。


2丁拳銃+GB版「44口径」で登場。
 これを聞くと、(ああ、今年も始まったなぁ)と思う。

 年々、落ち着き払いぶりが増してきて、お目当ての芸人が登場したというのに、出て来たところで歓声の一つも寄越さない客席に、物申したい小堀さん。
 にこにこ笑っているのはいいけど、喜びとかをもっと声に出していこう、きゃぁ〜とかさ、と。
 修士さんは、小堀さんに今まで歓声が起きた覚えがないのに、アイドル扱いされたことなんかないのに、今さら何を求めることがある、と冷静な指摘を次々寄越す(「オレは(アイドル扱い)あった」(修士・談)」。
 結局、小堀さんのみ再登場させるが、舞台袖にハケる後ろ姿がもうおじいちゃん以外何物でもない、と嘆きながら相方を見送る修士さん。

 ちなみに、今日は立ち見も出るほどの盛況ぶり。
 そんなに入っているというのに、やり直させたところで、お愛想の「きゃ〜」すら寄越さない客席も、なかなかどうしてさすがだと思ったり。

<漫才>

・心がけ漫才

 →ライム系。

・クイズ「ちょうどええ」漫才

 →「テレビ番組」「クイズ番組」、という振りだけで、ピンと来る客席大多数。
 「あっちむいてホイ」で小堀さんが勝った上で成り立つ流れがあったのに、初っ端で負ける上、修士さんが出した助け舟の意味もあまり伝わらずで、結局この部分を“なかったもの”として飛ばすという暴挙に出た小堀さん(^^ゞ。

・「ちょうどええ講座」(あるいは合コン漫才)

 →ボケツッコミ逆転系かと思いきや…。
 2丁拳銃ブログのコメントで見かけた“あのネタは…”と微妙なニュアンス満載だったネタは、このネタだったよう。
 一言で言うと“ゲスい合コン”漫才(^^;。
 (こんなことやっててよく今まで致命的なトラブルに巻き込まれなかったな、この人)と、ある意味天才的というか類稀なる危機回避能力に何故か若干の腹立たしさを覚えたり。
 一昔前の私なら、意地でもクスリとも笑わない上にアンケートに文句と嫌みを書き連ねて出て来たような内容だったが、耐性が着き過ぎたため、呆れはしても驚きはもうしない自分が何だか情けなかったり若干悲しかったり。
 悪意はなく、純粋に(何でこのネタをやろうと思ったのだろう。何故、これでイケる、と思ったのだろう)と不思議に思ったネタだった。

・モンスターペアレンツ漫才

 →「動物園」系統だったが、後半はボケツッコミ逆転。
 「動物園」も最近は落語で聞くことが多いから小堀さんが追い込まれるパターンに違和感なかったけど、「百式」でしか見ていなかったら、この部分は役柄逆転だと思うのだろう。

・憧れの職業漫才

 →「海外旅行するなら」系統。
 溜めに溜めたノリツッコミの後、本来のツッコミを(色々な意味で)パシーン!と決めて行く修士さんを見ていると、だんだんすっきりしてくる漫才。
 最初にこの系統のネタを見た時、
 >今回の百式で唯一聞きながらダレてしまったところがこの部分(2005年)
 とか思ってたのに、今はけらけら笑ってるうちに終わっている。

・デッドスペース漫才

 →修士さんの一言一言に、小堀さんがひねくれたようなボケを浴びせるが、それがオチで全て繋がる、という非常に私は好きな系統の漫才。
 アンケートの今年の百式で面白かったネタには、これを挙げた。
 今年のネタの中では地味な系統に入るが。

・ソルジャー漫才

 →一年目漫才系。
 毎年ここの部分は(無茶苦茶だなぁ)とか、(設定が飛び過ぎてるよ〜)など、若干ついていけなかったりするところが個人的にはあったが、今年は置いて行かれることなく最後までついて行けた。

・強盗漫才

 →「チョコレートパフェください」に似ている系統の漫才だった。
 この漫才のオチが「百式2010」全体のオチともなるが、他の漫才あってのオチだったので、この漫才だけを他の場所でやる時は、オチをどのようにするのだろうというところに興味がいった。

・エンディング

 →のびのびとやりすぎたため、今年は110分だったそう。
 東京公演では最長記録を更新。
 DVDにする時は合コンネタをカットすると小堀さんが発言したら、客席のあちこちから無言の抗議と批難がふつふつと湧き起こる。
 合コン漫才の取り扱いでは、今まで行った地域全てで客席から無言の圧力をひしひしと受け取っていた小堀さんだが、本人的にはもっと軽い感じで受け取ってもらえると思っていたとか(^^;。
 (大人が多いとはいえ、女性が圧倒的に多い客層でこれが鉄板でウケるなんてことはありえないだろう…)と、物凄い読み間違いに驚いた私。
 そこまでここの客はゲスくないし、甘くないです。
 おろした以上、このネタは残りの公演でもやり続けるようにと、修士さんから命令される。

2010でキリ良いけれど…といいつつも、来年も一応やる予定のよう。
 いずれ発売されるDVDの購入や、アンケートの記入もお願いして、東京公演は終了。
 


<感想>

演者だけが満足している舞台は、「独りよがり」。
ファンだけが面白がっている舞台は、ただの「甘やかし」。

 不遜な考えだとは自分でも思うが、自分が好きな人の舞台を見に行く時は、こういう目を持ちながら見るようになるべくしている。

今回の「百式」はどうだったかというと、あまりお笑いの感想では好ましくない感想かもしれないが、面白かったがそれ以上に何だか楽しかった。

「百式」だから、当然、二人は漫才に入り込んでいる。
 「百式」には枠があるけれど、その枠を意識し過ぎることもなく、逆に枠を無視して暴走することもなく、最大限に使った枠の中で、漫才を自由に操り、漫才と楽しく戯れていたように感じた。
 その姿はとても伸び伸びしていて、自由な感じだった。
 (自由だな〜)と思った公演は色々あるが、その大多数は、客席の反応などお構いなしで演者達の世界に入り込んで好きなことをやっている、という舞台だった。
 しかし、今日の「百式」は、二人の世界に置いて行かれることなく、逆にその楽しい様子に自然と吸い寄せられた。
 二人が伸び伸びと楽しそうに繰り広げる漫才を面白がっているうちに、だんだんこちらも楽しくなっていた。

演者だけが楽しんで客が満足しなかったらだめだし、演者が納得してない出来栄えのネタでも、満足して許して笑う客でもだめだ。
 お笑いの楽しさは、演者と客双方の満足による相乗効果が大きいと思う。

 そういう意味で、今年はとても楽しかった。

一つ残念だったのは、たっぷり堪能した漫才は、本当に時間がたっぷりだった点。
 (こんなにたっぷりやったんだから110分ぐらい行ったんじゃないかな)と思ったら、発表された時間は101分だった、ということを昨年体験したので、“実際にやってた時間以上に堪能する”ということを今年も味わいたかった。
 東京公演の110分を長いとかダレたとか思わなかっただけに、これが100分±1〜2分だったら、忘れられない「百式」の一つになったかもしれない。
 
(10/12/05 記) 

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