百分式漫才「百式」〜東京式
(08/7/5 at ルミネtheよしもと)
【出演】
2丁拳銃

<開場〜開演>

時間通りに開場することはない、と踏みつつ18時35分頃行ってみたら、案の定(笑)。
 よしもとグラビアエージェンシー創立記者会見だかなんだかで、MCをやっている南海キャンディーズ・山ちゃんの声を遠くに聞きつつ、雑誌コーナーとかで暇つぶし。
 廊下に行くと、今年のグッズであるTシャツやビーサン、サイン入りポスターの前に長蛇の列。
 すご〜い、と思いつつも売り上げへの貢献はせず。

やっと開場し、開演を待っていると客席アナウンスが行われたが、誰の声か分からず。
 そして、ウケていたとは言いがたし。
 ただ、私は今回、久しぶりに一番前のやや小堀さんよりに座っていたので、あまりのダダ滑りに袖に控えていた小堀さんが思わず笑った声は丸聞こえ。
 私の周囲からも「あっ、いる!」みたいな無意識の呟きがちらほら上がった。

19時15分頃、ブリッジが流れる。
 今年のブリッジは雨の新宿を二人が傘をさして佇んでるところからスタート。
 いつものロック系統から外れてはいないものの、見ながら若干の気恥ずかしさを覚えるような直球でもイキり系統でもなく、良い感じに肩の力が抜けているほわほわゆるゆるロックな感じ。

権利関係のお金を払わなくても良い2丁拳銃+GB版「44口径」が今年も鳴り響き、二人登場。


<漫才>


 修士さんは黒っぽいスーツ。
 「2丁拳銃パン、パン!」みたいなツカミをポーズ付きでやり出したので、(ど、どうした、シュウちゃん!?)と意味もなく焦る(^^ゞ。

 小堀さんは赤〜茶系のスーツ。
 先月の六十式でもポール・マッカートニー頭だったが、今日もポール頭。
 もうコホリ・オブ・モヒカンにはならない模様。
 「逢いたくて」が出たあたりの髪型に似ているので、その頃の小堀さんが目の前にいるような錯覚を覚えて不思議な感じになる。
 ついこの間までモヒだった人と目の前にいるボンボンのような髪型をした人が同一人物とは思えず、髪型の影響って大きいなぁと改めて思う。


◇オリンピック漫才

◇絵描き歌漫才

◇昔話漫才
 (今年も健気なヨメアリが出て来て相変わらずいじらしかったが、今年はいつもほどにはうるっとせず(^^ゞ)

◇健康漫才
 (ライム漫才。小堀さんがあまりに好き勝手にボケるため反撃に出た修士さんからこの漫才の面白みをばらされ、この後やりにくくなるから止めて!と焦りながら謝る小堀さん)

◇妖怪漫才

◇ゾンビ漫才
 (捨て力士を思わせる系統のネタで、見ながら懐かしくなった。やりながら小堀さんはなんだかゾンビに感情移入して切なくなってきたとのことで、だんだんとテンションが下がる)

◇妖怪獣コホラ漫才
 (某地域を扱ったネタのシモ具合に、(ご当地でもこれやったの?)と思わずメモる。福岡が同じように扱われたら、辛子明太子を投げつけてやるために初出待ちするかも、とアホなことをちらりと思った)

◇趣味漫才
 (「海外旅行するなら漫才」と同系統。ノリツッコミを行う修士さんのツッコミ具合は結構な強さのようで、間近では確実に聞こえる鈍い音の数々に驚く。去年は若干長いと思う件があったけど、今年はそんなこと思わなかった)

◇寿司屋漫才
 (去年の家具屋の逆バージョンという感じ。修士さんの時は突き抜けるようなアホっぷりが印象に残るが、こういう系統を小堀さんがやると、にくったらしさが妙に印象に残る(^^ゞ)

◇パイレーツ・オブ・漫才
 (一年目漫才系。これが気づいたら25分(実に百式の4分の1)もやるという大作に。今年は1年目コンビにありそうな“ネタとネタのつなぎの唐突具合”も再現。
 この漫才は修士さんが主導権を握ってるような感じだった。ユニットコントなどで他の人がボケている時に小堀さんがやる“試す目”を今回、修士さんがしていたように思う。修士さんが予定外や予想外の行動を仕掛けてくるので「誰か替わって!いやや!」と舞台でキレながら拗ねる小堀さんを久しぶりに見た。
 そして、好きなのだが生では見たことがない「花火」という漫才に出てくるセリフの一部がこの漫才で使われていたので、テンションが上がった。爆薬を込めるついでに夢も売ってもらえたら完璧に好きな流れ)

◇名前を変えたら漫才
 (毎年、オチのつけ方が違うのが百式の凄いところだと個人的に思っている。今回のつけ方も例年と違うもの(というよりも、2丁拳銃があまりやりそうにないパターン)で、(あぁ〜、こういうつけ方があったかぁ〜)と予想外だった)


<終演>

物販のTシャツ(小堀…黒/修士…白)を着て登場。
 修士さんは履き替えるのが間に合わなかったとのことで、手にビーサンを持ってきて、舞台で組み立てる。
 物販の説明をする際、“ビーチサンダル”という言葉が出ず“草履”と言い笑われる修士さん。
 「草履ちゃうんか!(ビーチサンダル、ビーサン、という言葉が聞こえると)東京ではそう言うんか!?」と強気。

 そういえば、近くに座ってた子はどうも修士さんのファンらしく、何かにつけ「可愛い、超可愛い」を連発。
 修士さん、まだまだ可愛いでイケるようです。
 
前日、修士さんを始めとする百式関係者から怒られたという小堀さん。
 「パイレーツ・オブ・漫才」で一人ボケをする時間があるのだが、そこでの小堀さんは照れがあって弾けが足りない、と。
 特に大阪の動きの小ささは小さすぎるにも程があったとか。
 会議では、その場にいた冷静な修士さんでも(意味が分からへん)と思うようなむちゃくちゃな喩えを出しながら怒った作家さんもいたそうだが、前日のこの会議が功を奏したのか東京公演での小堀さんの弾け方は修士さんには合格点だったよう。

改めて開場・開演の遅れの不手際を謝る二人。
 2丁拳銃は単独ライブをやる度に謝ってばかりのような…。
 それでも電車や門限の関係か、席を立つお客さんがちらほら。
 「帰った後、おもろいこと言うたるからなーっ!」なんて言っていた小堀さんだが、今頃になって入ってきたお客さんには2人ともびっくり。
 とりあえず今日の漫才の流れを100分掛けて説明をしてあげようとする小堀さんと、速攻止める修士さん。

赤いカーペットで流れていく番組にも出て行かななぁ、と修士さん。
 あの番組なのに百式でやろうか、とも。

最後は2人とも深々お辞儀をし、99分40秒の『「百式」〜東京式』の幕が閉じる。




<感想>

 
お金を払って2丁拳銃の漫才を見たのは約1年ぶり、と随分間隔が空いたが、変化を感じたことがあった。
 たらたら〜とした口調で好き勝手にボケていく小堀さんにスパーンと鋭くツッコんでいく修士さん、というのが2丁拳銃のスタイルで、役割逆転系になると意表を突くキャラ設定の修士さんが小堀さんを翻弄させる、というのがこれまでのパターンだった。
 どちらかというと話の展開の主導権は小堀さんが握りがちだった。

 しかし、今回の百式では、通常スタイルの漫才でも修士さんが話の主導権を握っていると感じることが所々あった。
 好き勝手なことを言うとかオーバーアクションを取るとかそういった変化球ではなく、正攻法のツッコミで小堀さんのボケを切り返していくのは今までと変わりない筈なのに、受ける印象がまるで違っていた。
 小堀さんはムキになって主導権を奪い返しに行くようなことはない代わりに奪われっぱなしでいることももちろんなく、気づいたらいつものスタイルに戻っていたりして、見ていてとてもわくわくした。
 漫才師としての2人の純粋な勝負を見ているような気がした。

 
「百式」で生まれたいくつかのネタは、マイナーチェンジが加えられながら<2丁拳銃のネタ>の一つとして、色んな地方や劇場で披露されていく。
 期間限定の笑いではなく、長いスパンで愛されていく笑いの生まれたての時期に7年間立ち会えた。
 “定番系”、“新境地系”などのネタに成長した後も随分遭遇した。

 2002年の春分の日、7じ9じ終了後に入場料1,000円、という破格の値段で実験のような感じで始まった「百式」だが、今年も東京式は、立ち見が大勢出た。
 「百式」が始まった頃は、こんなに長期的かつ定期的なイベントになるとは予想していなかった。

 ツカミの時、「百式」は毎年やっているイベントで、今回で7回目になるという説明があった。
 そして、ライフワーク的なものにしていきたい、来年もやるんです、と小堀さんが言った。
 「百式」が毎年行われて当たり前のイベントではなくなるかもしれない危機があったと知ったのは、他ならぬこの方のブログだっただけに、この発言を聞いて凄くホッとした。

 短い笑いが重宝される中、「百式」はある意味対極にある。
 それでもこのイベントが行われ、続いていくことに安心する。

(08/7/6 記)
 


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