ハリガネロック最後の漫才ライブ
05/10/8 at ルミネtheよしもと
[出演]
ハリガネロック
<開場> 完売しないことが当たり前のようになっていた昨今のハリガネ単独。 数日前に覗いた@ぴあではまだ席は残ってたような感じだったが、ルミネ空席情報によれば、今日の当日券は立ち見のみ。 20人ほど立見で入れたよう。 意味深なタイトルなので 「ねぇ、本当に解散しないよね!?ブログには解散しないって書いてあったけど...」 「何か、見たいけど見たくないよ〜。ドキドキしてきた〜」 とかいう会話がちらほら耳に入る。 「大丈夫だよ!ユウキロックさんはそんなことはしない人じゃん」 と慰める誰か。 私はそういう会話を聞きながら (...そんなことをする人かどうかは知らんが、意味深なタイトルつけて不安な気持ちにさせるような人であることは確かやなぁ) とぼんやり思う。 |
<開演> 「ストーンコールドスティーブオースティンのテーマ」が鳴る。 約5ヶ月ぶりに聴く出囃子。 □漫才1 二人が出てきても鳴り止まない拍手。 まだ“最後”が何を指すのかが分からないから、私はとりあえず通常公演と同じ頃合いで拍手は止めた。 解散はしないから、と改めて宣言する松口さん。 勝手に先走った連想して泣きよった子もいたらしいからなぁ、と大上さん。 そらそうだ。 こんなタイトルのイベントで明るい未来を想像するようなつわものはおるまい。 ・父親の夢・息子の場合〜息子と飲みに行く ・父親の夢・娘の場合〜「娘さんを下さい」 (娘編の時、娘を奪っていく彼氏(松口さん)を殴る父(大上さん)という設定の場面で、お互いビンタを張った。 が、大上さんが松口さんから叩かれる時に微妙にびびって顔をずらすため、松口さんのビンタは大上さんの鼻辺りに変な感じの刺激を与えることに。 結果、大上さんは“漫才中なのにくしゃみが出そうで出ない”という微妙な状態に陥ってしまう。 緊張感が漂う場面だった筈が、“大上さんのくしゃみ待ち”という非常にのんべんだらりとした空気に変わる) ・子供の頃の遊び〜缶蹴り/かくれんぼ/スカートめくり/ ・子供の頃のいたずら〜落とし穴/黒板消し落とし ・なぞなぞ〜ユウキロック→大上 ・なぞなぞ〜大上→ユウキロック (昔からやっていたもののリメイクっぽい感じ) <終演> 2本目の漫才が終わった後、ルミネのスクリーンにスタッフロールのブリッジが流れた。 (エンドロールっぽいなぁ) と思ったら、見事最後に「終」の文字が。 あらら、と思ったら幕も閉じ、再び開いた幕の向こうにいる2人の姿はどう見てもエンディング。 そういえば開演直後、「今日は40分のイベントで〜」みたいなことを言っていた。 だからまぁ、別に終わっても良いんだけどもまだ時刻は19時20分ちょっと。 (えぇ〜、このまま終わる訳無いとは思うけど、本気でこのまま終わるんだとしたら1500円ぐらい返金して欲しいわ) ということを即座に思った。 でも、“最後の”漫才ライブはここで本当に終了。 ただし、“オマケ”があるので時間がある人は残って下さい、とのこと。 そのオマケのタイトルは 「ハリガネロック最初の漫才ライブ」... (そういうことですか。そういうことだろうと思ってたよ) と苦笑いしつつ、時間はあるのでそのままおまけライブを見ることに。 |
ハリガネロック最初の漫才ライブ
[出演]
ハリガネロック
□漫才1 ・大上の夢シミュレーション1〜警察官:取調べ編/張り込み編 (“ユ→とちくるってたロックスカート、大→オーバーオールみずたま”、とメモっていた。 2002年ぐらいによく見かけ、その度に(どの方向にこの人いくつもりなんだ?)と複雑な気持ちになったあの格好だったので。 なお、ボケ・ツッコミは逆転) 漫才の間は楽屋の松口さんや作家さんの様子が中継される。 この間にアンケートを記入して下さい、とのこと。 私が行き始めてからこういう時間をわざわざ取るようなことは無かったので、反応が気になるのかなぁと思った。 なお、この時に流れるBGMは「スーパーマリオブラザーズのテーマ」。 □漫才2 ・「象です」(by大上。もちろん麒麟・川島さん風に) ・大上の夢シミュレーション2〜リポーター:尋ね人番組編 (これもボケ・ツッコミ逆転系。 もしかしたら今日から役割を逆転させるから“最後の〜”“最初の〜”なのか?と勘付く。 実際、これからこのスタイルで行くのかどうかは分からなかったけど、もしそうならつじつまは合うなぁと思った。 設定がリポーターじゃなくて司会者だったら、2丁拳銃も似たような漫才をやっている(2丁拳銃は“尋ね人”ではなく“ご対面番組”と言っている。 同じような素材を扱っても、料理する側によって違う結果になるから面白いよなぁと思う) □漫才3 ・大上講師によるモテないユウキロックのためのデートシミュレーション〜ユウキくんとクニコちゃん (「マスター、バカボン(バーボン)を1つ」という下らんフレーズが何かとってもツボに来た。この漫才は言葉遊び系が多くて馴染み深い感じだった) □漫才4 ・ヘアサロンシミュレーション〜“サクライさんにして下さい” □漫才5 ・大上の夢シミュレーションその2〜やっぱりリポーターになれる思うわ・豪邸訪問編 □漫才6 ・大上の夢シミュレーション〜補導員になりたい □漫才7 ・南海キャンディーズのツカミポーズをする2人。もちろんしずちゃんは大上さん。ここまで大上さんがやる若手芸人のツカミパクリに乗らなかった松口さんもこれで今日は最後の漫才だから、と山ちゃんのフリを担当。 ・大上の夢シミュレーション〜ハリガネ劇団を作ろう・ハリガネ版「ももたろう」 (「劇団作りたいねん」という大上さんのとってつけたような棒読み口調のセリフに、客も松口さんも失笑&苦笑&ため息。 嘗て、こんなにも「桃太郎」と「キジ」に対し、いろんな意味で涙させる脚本があっただろうか...(笑) |
<エンディング〜感想> ◆エンディング 改めて出てきた二人。 “最後の漫才ライブ”が始まった時の拍手の量には少し及ばない感じだったが、それでもかなりの量。 ありがとうございました、とお礼を言いつつ 「何?この微妙な感じは」と客席に苦笑いする松口さん。 大概のハリガネライブで感じる客の熱気がムンムン漂うエンディングとは少し違った感じだった。 期待してるかもしれんけど、面白いことは言えんよ、なら早よ(舞台裏に)帰れ、っていう話やけど、すぐに帰りたないねんな、とか言ってたような。 この先ずっと普通のことしか言わんよ、と言っていたが本当に普通のことばかりだった。 次の単独ライブは来年ぐらいとのこと。 もう2005年も後2ヶ月で終わるから、次回単独が年を越すのは不思議じゃないが、これを聞いたとき (3ヶ月後とかそういうスパンの単独はやらせてもらえないのかな〜) と少々複雑に。 ちゃっちゃとアンケートを書き終えてさっと扉に向かう。 今回はF列だった私。 A列の前を通って立ち見の人の方に向かう方が、椅子席の通路を使うより早く出れるということが身に染み付いてしまった自分に気づき苦笑。 +++++++++++++++ <感想> 夏ごろやると言っていた単独ライブがやっと決まったことが分かった時は嬉しかった。 でもそのライブのタイトルが「ハリガネロック最後の漫才ライブ」だと分かった時は、嬉しい気持ちは少ししぼんんだ。 そして戸惑った。 気になったから、知人に頼んで先行予約で取ってもらった(先行販売日、携帯やPCを使えない環境にいたため)。 8月末はまだ気になっていた。 ブログで解散は無い、と松口さんが書いているらしいと知った時、 (そうだろうなぁ)と思った。 何となくだが、“最後”が“解散”を指してはいないだろうという勘みたいなものがあった。 何を以っての“最後”なのかは分からなかったけど。 何にせよ本人達がこのライブで解散はしないと宣言したのだから、ホッとするかなぁと思っていたが、実際の私はいらついた。 (もう思わせぶりなタイトルつけて色々引っ張るのもいいかげんにしたらどう?) と醒めた感じでしか見ることが出来なかった。 結局、“最後”が指すものは 「ボケ・ユウキロック/ツッコミ・大上邦博」 だったハリガネロックに別れを告げ 「ボケ・大上邦博/ツッコミ・ユウキロック」 のハリガネロックに変わる、という意味だったよう。 このスタイルの漫才を7本卸した。 旧ハリガネロックとしてネタを2本やったので、2時間ライブで9本。 今までハリガネロックがやって来た漫才ライブでは最多本数だそう。 漫才は面白かった。 でも、(面白いんだけど...)という風に、私は「面白い」の後にどうしても、“けど…”のフレーズがついて回った。 もともと松口さんの“ボケ”は、2丁拳銃の小堀さんやティーアップの前田さんのように見た目からして分かりやすいボケではなく、“ツッコミボケ”だ。 “ツッコミ”と間違って載っていたお笑い本もいくつか見たことある。 そして、大上さんもブログやフリートークで見る限りは、かなり突き抜けたボケっぷりを披露している。 それらは“意外な一面”というよりも“イメージどおり”という方がしっくりくる。 なので、他のコンビだったらかなり衝撃的な進路変更(東京に来た頃のライセンスのように)である筈の <ボケとツッコミを逆転させる> も、ハリガネロックだと(へぇ〜)とは思ってもそこまでのインパクトはない。 「藤岡弘」が改名するというからどんな名前だと思ってたら、「藤岡弘、」だったというのに似ている。 今回のライブの感想は、昨年のマンザイマニアのように (あぁ…行かない方が、見なかった方が良かったかも…) というものではなかったが、昨年の「white」の時に思った (あぁ…やっぱりハリガネロックから離れなくて良かったー!) とも違う。 嫌な書き方だが、正直に書くと “行って良かったのかもしれないし、行かなくても良かったのかもしれない” だった。 本当に何ともいえないのだ。 “面白くなかった” とは言い切れないほど笑った。 だが、一ライブで卸した漫才本数の最多記録を更新したライブだったというのに “面白かった。堪能した” と言い切れるほどの満足感もあまり無い。 どっちつかずの感想しか持てない。 だから、今回のライブに関しては“面白かった”と思う人・“面白くなかった”と思う人の感想のどちらにも共感出来ると思う。 喋り一本だった漫才が徐々にコント部分の割合が多くなったり、漫才というよりプロレスの方が近くなっていたり、漫才師ではなくコント師になり始めたりと、この2〜3年間ハリガネロックのスタイルはめまぐるしく変わっている。 方向が決まらずに色々舞台で模索する姿を見る度に (もっと自信を持っていて良かったのに、何で?) と思った。 <“最後”の漫才ライブ>が終わってエンドロールが流れた時、口惜しかった。 そして歯痒かった。 この回でやった漫才は言葉9割コント1割という感じで、そのコントも漫才の面白みを広げるためには必要なものだった。 センターマイクから離れることなくやるスタイルの漫才ではなかったけど、“しゃべくり漫才”のジャンルに入っても違和感は無かった。 それだけに (どうしてこういうスタイルの漫才を東京で続けなかったの? どうしてこういう漫才を去年の“マンザイマニア”でやってくれなかったの? やりたくてもやれなかったのならしょうがないけど。 こういう漫才をずっと見たかったのに。ずっとやって欲しかったのに。 やっぱりスッとハマるやん。乗せてくれるやん) という思いが消えなかった。 (05/10/9 記) |