ハリガネロック緊急単独ライブ〜失われた週末
出演:ハリガネロック

<開場〜漫才その1>

@ぴあでは結局完売にならなかったが、当日券入場の人は立ち見。
 お客さんは圧倒的に女性が多い。
 一人で来ている感じの人が目に止まった。
 待ち時間も声高に喋っている人よりも文庫本やハードカバーを読んで静かに待ってる人が多い。
 “どっしりと落ちついた感じ”“腰が据わった感じ”という印象。

暗転し、「ストーンコールドスティーブオースティンのテーマ」が鳴り響いた。
 今まで何十回ともなくきいたこの出囃子。
 条件反射で背筋を伸ばしてしまうこの出囃子。
 “ハリガネロックの漫才”にずっと期待していたことへの答えがやっと見れるんだなぁと胸がいっぱいになった。

 ハリガネロックが出て来た。
 大上さんは割合ラフな格好。
 松口さんはスーツにハンチング帽。
 そして、松口さんに1つの変化があった。

ツカミが「目〜離れてました!」じゃ無くなった。
 代わりに松口さんがやったことは「お辞儀」。
 90度直角の。
 以前もこういう風にやっていたような気もするけど、咄嗟に思い出せないぐらい昔だ。

 (今年のハリガネ、何かが違うんじゃないのか?)

 と思えた変化だった。

 そして、松口さんから久しぶりに褒めの言葉をもらった。
 「出て来た時、拍手があったけど、見事にキャァ〜!がない(笑)」と(^^;。

<漫才その1>

 ・大上の結婚
 ・子育て(ボケ・ツッコミ逆転)

 (渋公DVDをまだ買って無いので、後半のネタが新ネタかどうかは分からない。
 私は全部はじめて見るネタだった。
 ただ、子育ての時、前からやってる「いないいないバー」ネタをした時、客の笑いが一瞬止まった。
 (あれ、それは新ネタじゃないですよね?)
 みたいな感じで。

 今日のお客さんは、じっくり“舞台”を味わえるお客さんだったので気持ち良かった)


<トーク>

僅かな時間の暗転ですぐ出てきたので
 (わぁ〜、今日は漫才をノンストップに近い形でやるんだな)
 と思った。
 見事な思い違い(苦笑)。

 ・大阪は久しぶりであるハリガネロック。松口さんはなんばパークスの構造を一生懸命大上さんに語っていた。
 ・大上さんの奥さんはよく大上さんにメールを送る。打ち合わせ中に送って来るので松口さんが仕方なく大上さんに「メール送信」の時間をあげたことも(^^;。
 ・もし大上さんに子供が出来たら、「初めての○○(お風呂や入学式)」を1つ松口さんはやらせてもらいたいと思っている。
 ・大上さんの披露宴があまりに普通だったので耐え切れなかった松口さん。大上さんのケーキカット写真を写メで激写し、「未承諾広告」のタイトルで無差別に送りまくった。

ここでトークテーマを観客から募集することに。
 携帯で今回の単独用に取得したと思われるフリーメールアドレス宛てに質問メールを観客が一斉に送った。
 …私はフライングしました(苦笑)。

 ちなみに松口さんは携帯メールで絵文字推奨派。味気なさが緩和されるから。
 ただ、携帯メールで不満なことは
 「松口」と変換したいのに、変換候補で真っ先に出てくるのが「松愚痴」であること(^^;。
 私の前の携帯もそうでした。

 ・「思い出したくない一瞬は?」
 大上→最近太ってきたので、(小)を足す時、お腹が邪魔になり下がよく見えないらしい。
 お腹「ぽっこり」ではなく、お腹「でっぷり」にしか見えなかった…。
 松口さんは、浪商撮影のダイエットから、太れなくなったそう。
 現在、64kg。大上さんは75kg(公称65kg)。
 腹筋すら出来ない大上さんだった…。

松口さん、来年からは禁煙すると宣言。
 大上さんは速攻「絶対無理!」と断言。
 何で大上さんが断言するんでしょう(笑)。

 今年はまだ「いらいらすることが控えてるから(客、にやり)」止めないらしい。
 2丁拳銃の小堀さんも禁煙したそう(ニチョケンファンなのに知らなかった私)。
 小堀さんは禁煙本を買って成功したそうだが
 「そういうの嫌やねん。貧乏禁煙したいねん」と松口さん。
 徐々にタバコをへらしていき、最終的にゼロに持っていく作戦。

 元々、たばこ値上げを機に禁煙する予定だった松口さん。
 値上げ前にコンビニで20カートン購入。
 コンビニのレジの人が動転し、おまけのライターの本数を数えるのがままならないぐらいの個数だったらしい。
 トータルで4000円の儲けだったし、購入分の最後の1本を吸ったらもうかわないことにしていた。
 ところが、最後の1箱をなくす…。
 区切りが悪いので、結局今年いっぱいは吸うことにした。
 「たばこ買ったつもり貯金」なんかを始めることも言ってました(笑)。

 ・「こいつはおれのファンかと思ったことは?」

 大上さんは「めちゃある」と即答。
 浣腸されたり、自転車のサドルを盗まれたり自転車をひっくり返して(車輪を上に)置かれたりと散々。
 松口さんは接しづらいファンとして、答えようがない質問をしてくるファンをあげる。
 あと、大上さんは腹が立つファンとして「大上さんって30歳なんですか〜。じゃぁ、私、何歳に見えます〜?」としょーもないことを聞いてくるファン。
 「完ムシじゃ!」と毒を吐いていた(^^;。

 ・「さすが東京、やっぱり大阪」と思った時

 松口さんは「エスカレーターの並び方」。
 ゴエさんと一緒に出かけた時、無意識的に左側に立ったら、ゴエさんからにこやかに
 「すっかり東京人ですね」
 と言われたそう(関西は右側に立つので)。
 なんか嫌だった松口さん。
 「魂を(東京に)譲ってもうた気分。
 全然自分ではそんな気なかったのに。
 オレが“しっくりこんかった”や」
 と、ゴエさんのピンネタ「しっくりこない(しない?)ニュース」をもじっていた(笑)。

 大上さんは「行列」。
 くっそまずい寿司屋にも並んでんねんで、と大上さん。
 なんでそこが“くっそまずい”ことを知ってるのかというと、自分も気になって並んでしまったから(^^;。

 あと、松口さんは「物価が高い」。
 松口さんだとそうでしょうな(^^;。
 修士さんと多田くんに飲みに誘われた松口さん。
 金が掛かる、と当然の如く拒否したけれど無理矢理連れていかれてしまった。
 その時の飲み代がなんと2万円。
 チャージだけで2000円取られるし、薄〜いカルアミルクが1000円、ととかく金が掛かる店だったそう。
 
 そこをいくと大阪はいい、と松口さん。
 ストリーク・山田さんの1Rマンションの家賃(32000円)より、東京の松口さんの駐車場代(月極42000円)の方が高いと知り、ショックだったそう。
 しかし、大上さんに言わせれば
 「山田の方がショックやったんちゃうか?」。
 確かに。


<ゲームコーナーその1>

暗転しているが、舞台に3人の人影があるのがぼんやりと分かった。
 (…ということは、また漫才じゃないのね。で、もう一人は誰?)
 と思いつつ明転を待つ。

明るくなった舞台に立っていたのは、ハリガネとスッチー(ビッキーズ・須知さん)!
 おなじみの半被姿。
 お客さんも歓迎。
 毎度おなじみ「ビキビキビッキーズ!」のハリガネバージョン(ハリハリ、ハリガネロックだったかな…)を何度も被せるハリガネ。
 NGKで団体さんたちが集合写真を撮る時のカメラマンの掛け声は松口さん曰く
 「ハイ、チーズ!やなくて、ビキビキビッキーズ!やで、今」
 らしい。
 翌日、私は偶然その瞬間に遭遇。
 確かに言っていた。
 それは知らなかったスッチー。
 「お客さんたち分かってはるんですかね」
 なんてちょっと懸念していた。

このコーナーはスッチーがMC。
 世界一の激辛ソースを当てる。
 タバスコの2800倍ものの辛さ。
 ダミーはジュースが入ってるけど、名称は本物。
 いかにも恐ろしげなものから
 「辛すぎてまともなネーミングが考えつかへんかったんや」
 ということで意見が一致するほど、不可解なネーミングも。

 味見をするはめになったスッチー。
 ほんのごく僅かの量で悶絶。
 水では却って辛さが増すので、ヨーグルトか生クリームを舐めさせられる。
 うっかり目を触った日には舞台も裏側もおお慌てでした。
 スッチーのマジリアクションにだんだんハリガネも複雑になる。

この勝負、「ブレア氏の午後」というネーミングが辛いわけない、と挑んだ松口さんの負け。
 かつて、松口さんがライブのゲームコーナーで50倍カレーを顔色1つ変えず平らげたとこを見たことがある私だが、さすがの松口さんも悶絶していた。
 そして、松口さんが選んだ時
 「そんななー、“ブレア氏の5時”なんてしょーもない名前のがホンマは辛いねん、って!」
 と言っていた大上さんも 
 「『ブレア氏の5時』をバカにした罰」「ブレア氏に謝って下さい」
 と、2人から詰め寄られ、舐める羽目に。
 舞台で3人が討ち死にしました(^^;。
 とにかく、強烈みたいです。

このコーナー、とにかく大上さんの周りでにこにこしながらMCをこなしていたスッチーが印象的でした(笑)。
 (スッチー、良かったねえ…)
 と、なんだかしみじみ。
 スッチー、徳井くん(チュートリアル)、大上さんで、「大上軍団」だったらしいですから。


<ゲームコーナーその2>「大上に物申す!」

大上さんに文句がある後輩がいる、ということでレイザーラモンとビッキーズが登場。
 新喜劇に行って以来、レイラモを見るのは久しぶり、ということと、このイベントにこの異色コンビがゲストでやって来た、ということが異常に楽しくてテンション上がりました(^^;。

 後輩からは早速チクリ。
 というより
 (スッチー、本当に大上さんに可愛がられてたんやなぁ)
 と思うエピソード公開。

 (ス)「あんたが引っ越すから、いうて部屋を譲ってもろうたわ!家具も譲ってもろうたわ!けどなぁ、隣にヤクザが住んでる、って一言も言わへんかったやないか!」
 相方の木部ちゃんは
 「オレよりこっち(スッチー)の方とよう遊んで!携帯変えるいうからついて行ったら、中々決められへんし。この優柔不断!」
 なんて吠えてました。
 レイラモもわいわいとイキったり吠えてたり。

 後輩と大上さんが勝負をすることに。
 「わたくし、天女の秘法館でおなじみのユウキロックが判定致します」
 みたいなことを松口さんがいい、客席から拍手が送られました。
 いつ頃のレギュラーでしたかねぇ、これ。
 懐かしい名前だった。

<紙風船対決>

 後輩達はそれぞれ頭に、大上さんは4ヶ所(もしくは5ヶ所)に紙風船を着ける。
 全部の風船を割ったほうが勝ち。
 住谷さんは帽子を被っているので紙風船がついてるヘルメットが付けられず悩む(^^;。
 松口さんが
 「帽子取ったらエエやん!」
 というと、
 「トータルコーディネートなんですわ」
 と出渕さん。スポンサーがついてるらしいです(笑)。

 いざ、勝負開始。
 大の大人が5人も揃って真剣に逃げつつ攻撃。
 きゃぁきゃぁはしゃぎながら、スッチーが
 「楽しいですね。こんなコーナー、うめだ花月に行ってからやれないから」
 と思わず漏らすと、松口さんが
 「シー!」と口止めする一幕も。
 私も久しぶりにこんなコーナーではしゃいでるハリガネや旧base勢を見たので
 (あぁ、芸人も楽しいんだ )
 と思った。

 この勝負はレイラモがプロレス技をかけるという強硬手段を繰りだし、後輩達の勝利。

<ツッコミ1000本ノック>
 最初は大上さん、次は後輩がボケる。
 それに対しツッコミをし、松口さんが判定する。
 OKの数が多いほうが勝ち。

 後輩達のトップは木部ちゃん。
 しかし、大上さんのボケにツッコミを入れず感想を言うなど天然ボケ炸裂。
 「(本職は)ツッコミちゃうんか!?」と、ハリガネ、後輩ともども木部ちゃんにツッコミまくり(^^;。
 スッチーはノリツッコミなど多彩な技を披露してました。器用芸人。
 木部ちゃんの存在に暗雲がたちこめたけれども、この勝負も後輩が勝利。

<大上vsレイザーラモン〜大食い対決>

 「ヒロタ」って関西では有名なケーキ屋さんなんでしょうか。
 ヒロタさんからシュークリームが贈られました!と営業スマイルを送る芸人達(笑)。
 レイラモはシュークリーム40個。
 大上さんは辛子入りシュークリーム10個。
 多く平らげた方が勝ち。

 誰もが大上さんの大苦戦を予想していたが(ある意味間違ってなかったけど)、レイラモの動きもなんだか鈍い(笑)。
 「見掛け倒しだったんでしょうか!」と松口さんがいう一幕も。
 そして、勝負を放棄して吐きに行く大上さん(^^;。
 
 結果…レイラモの残りは22個。大上さんが32個(残り8個×4倍)。
 ということで、レイラモ勝利。

中々勝てない大上さんのヘタレっぷりに後輩達が呆れながらの最終勝負。

<大上vsビッキーズ〜即興一人演技バトル>
 東京に旅立つ男(大上)を見送る友人(ビッキーズ)、という設定。
 セリフはしりとりでやらなければいけない、というルールも加わる。
 「お芝居とか出来るの?」と松口さんが訊くと
 「うめだで“芝居もん”やってますから!」と答えるスッチー。

 冒頭、大上さんと木部ちゃんのセリフ出しが被るなど、またも木部ちゃんがネックになるかと思われたが意外と大活躍。
 きっぱりとミもフタもないことを一言で片付けるなど、独特のセリフ回しに大爆笑でした。

 松口さんの琴線に触れるナイス演技を連発した木部ちゃんの活躍により、見事ビッキーズ勝利。

…結局後輩に1個も勝たれへんかった大上さんでした(^^;。
 それが大上さんらしい。

私は、あるサイトさんに置いてあるゲームイベントのレポートを見たことがあります。
 3年前、ハリガネがガブンチョ(ビキ、ロザン、チュートリアルなど)とやったゲームイベントのレポートです。
 このコーナーはもしかしたら当時のそんな雰囲気を再現したものかもしれないなぁ…と思いました。


<漫才その2〜エンディング>

やっと暗転中に誰も立っていない舞台。
 出囃子がいつものとは違っていたのが残念。

 ・犯罪の低年齢化
 ・銀行強盗(ボケ・ツッコミ逆転)

 (…またこの展開かぁ)ということをちらりと思ってしまった(苦笑)。

そして、エンディング。
 大阪でまたこんなイベントをやりたい、ということを言っていました。
 M-1とか、このライブの趣旨とか、恐らく大多数が気になることについては(敢えて?)触れられることなく幕は降りました。


<感想>

GAORAで2004/1/1に放送されることもあるので、あんまり先入観を持ってもらったら困りますが、このイベントは結構反応がきれ〜いに分かれたと思います。

席を立った時、後ろに座ってた人達が皮肉混じりに交わしていた
 「ハリガネが緊急にやりたかったことがこれ?」「週末、返して欲しいわ、ホンマ。むっちゃバタバタして来たのになぁ」
 という会話が耳に入りました。

 今日やったハリガネの漫才を見てショックだった、というメールももらいました。
 自分の中で、ハリガネへの感じ方がどこか変わったというものも。

一方で、「凄く楽しかった」「行って良かった」という反応もまた目にしました。
 「あんな活き活きとしてるハリガネを見たのは久しぶりだった」というものとか。

私自身はどうだったかといえば、「漫才」だけ取り出すと物足りなかったです。
 ネタ中に役割を変えるのはハリガネ漫才では結構新鮮ですけど、それは偶に見るから新鮮であって、同じ舞台で2度も見るのは正直…どうなん?と。
 大上さんの結婚話もちょいと引っ張り過ぎ(笑)とも。

でもイベント全体の感想はどうだったのか、といえば

 「楽しかった」

 です。
 それも、
 「凄く」楽しかった。

 「面白かった」というのとはちょっと違うなぁ、という感じです。
 お笑いライブの感想は、「楽しかった」よりも「面白かった」ということの方が重要らしいですが。
 (千原Jr.もそんなことを言ってたし、「ピストルズ」で“小堀バチ”も似たようなことを言っていた)
 今回は“面白かった”よりも“楽しかった”の方が強いです。
 しかし、
 (それでも良いやん、それのどこが悪いの?)
 と思う自分がいます。

 私は、単独ライブにゲストが来るのはあんまり好きな方じゃないんですが(だって“単独”やから見に行ってる訳なので)、今回のビキ&レイラモ登場は凄く嬉しかった。
 活動の拠点が新喜劇になったレイラモ。翌日M-1の準決勝進出が掛かっていたビッキーズ。
 そんな彼らとハリガネが一緒にワイワイはしゃぎながら参加していたコーナーは、凄く懐かしさを覚えた。

 想像を超えるほどのファンのマナーの悪さやら相次いだ解散・卒業ラッシュやらで、必ずしも「好きな場所」とはいえなかったbaseよしもと。
 だけど思い返してみれば、私が1番楽しくお笑いを見ていたのは、今回見た彼らがbaseよしもとに所属していた頃だった。
 行けないとはいえ、「マンザイマニア」のサブタイトルとゲストは毎回楽しみだった。
 ビッキーズが“遅咲き”とはいえ、着実に1つ1つタイトルを掴んで行く様子は本当に嬉しかった。
 レイザーラモンは、あんまり思い出無いですが(苦笑)、多分新喜劇よりも2丁目やbaseにいた頃を知ってる年数は多いと思います。
 あのコーナーは芸人と私達がかつて共有したあの場所と空気を再現してくれたかのように感じた。

ハリガネがメインのイベントで好きなところは、必ず舞台に立っている人全てを生かそうとするところです。
 誰かが滑ってたらさりげなく拾いに行き、決して死なせっぱなしにしない。
 ハリガネが後輩と絡むイベントはいつも安心して見に行けました。
 
 けれど、02年春に東京へ行ってからは、ハリガネがそんな風に後輩と絡むイベントは殆ど見ていません。
 舞台で自由に好きなことを喋ったりやっている姿を見た覚えがありません。
 いつのまにか、どこか窮屈そうなハリガネしか見覚えが無いようになりました。
 “何も考えずにただ笑って見れる”のが彼らの漫才だったのに、何故か、終わった後に違和感や引っ掛かりを覚えるようになりました。
 昨年の暮は初めて、ハリガネを見る時に切なさを覚えました。

02年暮れから今年の秋口まで、一部では彼らの動向が注目されていました。
 「M-1GP2003」に出るのか出ないのか。
 
 優勝者のますだおかだにはもちろん、後輩のフットボールアワーや笑い飯にも順位では敗れた昨年のM-1終了直後。
 ハリガネロックは、M-1に参加するのは今回限りにすると表明した。
 私は、(それで良い)と思った。
 だから、この発言を撤回して今年も挑戦すると知った時は軽く失望した。
 大阪で2回戦に挑戦したと知った時も素直に喜べなかった。
 (どこ所属の芸人ですか?)と正直思った(2丁拳銃にも同じことがいえますが;苦笑)。
 東京で負けたんだから、東京で挑戦して欲しかった。
 東京が活動の“拠点”なんだから、東京で闘って欲しかった。

そんな中で1つの救いだったのが
 「今年は勝ち負けにこだわらない」
 というコメントだった。
 私がハリガネロックのファンになってから初めて聞く、良い感じに力を抜いたコメントだった。
 自分たちの漫才をすると宣言していた。

 “自分たちの漫才”。
 それは、私が彼らの漫才を初めて見た時に思った
 
 (漫才って全然古臭くないやん!実際には見えない世界をお客さんに見えるように2人の掛け合いだけで広げるって凄い!)

 という漫才だ。
 
 それを今回の単独で見れると思った。
 それはかなわなかった。
 だけど、それについて“残念”とか“がっかり”とか“M−1に危惧感”とかはあまり思わなかった。
 “これなら今年のM−1は大丈夫!”とも思えなかったけど(^^;。

 今回、松口さんは漫才を始める前に2回ともお辞儀をした。
 凄く「魂」と「敬意」がこもっているように見える礼だった。
 そして<漫才師の正装>であるスーツ姿。
 最近は久しく見なかった姿。

 ワァ〜と自分達を殊更アピールすることなくネタが始まった時、(イケるんじゃないか)と思った。
 意外な切り口と絶妙な話術でぐいぐい引っ張って行く力はハリガネにしては少し弱かったけれど、一頃の
 (何がしたいん?)とか(…ハリガネまでそんなことせんで良いやん)
 と、 困惑するしかなかった無意味に身体を張るようなネタも今回は無かった。

 “緊急すぎて…”というのは身贔屓発言だと思うけど、もう少し時間があればもっとじっくり練った漫才を私達に見せてくれたんじゃないだろうかと思う。
 いつでもどんな状態でも完全なものを出すのがプロだとは思うけど。

 今回、凄く凄く“ハリガネ漫才”に期待していた人達だったら、このイベントにがっかりするのは分かる。
 私がそこまで失望しなかったのは、“漫才に対する期待”はもちろん大きかったけれども、どんな形でも良いから“活き活きしているハリガネロック”への期待も大きかったからじゃなかろうかと思う。
 久しぶりに自分たちも楽しみながらお客さんをもっと楽しませるハリガネロックを見ることが出来、その分では凄く満足した。

“漫才2本”“トーク”“ゲーム”“ゲストとの絡み”と、2時間半のイベントにぎゅうぎゅう詰め込まれたコーナーの数々。
 幕の内弁当のように色んなものを味わって欲しかったハリガネロックと、おかずは1つで良いからそれだけで満腹になりたかったお客さん。
 両者の認識のズレが、今回のように色んな反応を巻き起こしたんだと思う。

私は、1回のイベントでこれから先の彼らの活動全てが分かってしまうほどの予見性を持っていないし、今回満足できなかった分は次回のイベントで是非とも取り返してもらう気持ちでいっぱいです。
 なんだかんだいって、ハリガネロックを好きだし、まだまだ好きでいたいですしね。
 こんな考えではダメですか(苦笑)。

 (03/11/21 記)

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